2007.5.8(火)〜5.13(日) "御茶ノ水 ギャラリー 1/f"
TEL&FAX (03)3293-8756
林 保明 『都市の位相』
訳あって、以下に掲げる2枚の写真を付け加えて見ました。「下の写真の右側、髪の生え揃っていない赤ん坊が、上の写真の左側、帽子を被った女の子です」2枚の写真の間には約17年の歳月があります。
と言ったら人は信じるでしょうか?、でもそれは、写真を見る限り本当のような気もします。
ミレニアムを境に、都市の風景を意識するとも無く撮り始めました。その一方で韓国への渡航回数は、昨年の暮れに20回を超えました。
ソウルの街を東京のような感覚で歩き、東京の街に韓国のにおいを感じながら、でも何かが違う気がします。
その違いは何なのでしょう?、国の違い、民族の違いと行ってしまえばそれまでなのですが、同じような顔をした同じ肌色の韓国の友人に、日本人には感じない親しみを感じたりする事もあります。
同時代、ほぼ同地域でありながら、大阪の街もまた東京とは異なった時間の流れを感じさせます。韓国における、ソウルとプサンの関係に似ているような気がします。
実を言うと、この2枚は、ほぼ同時期に撮られたものです。上は日本の横浜、下は韓国のソウルで写しました。
横浜の雑踏を歩く少女は、何故か異様に光り輝いていました。ソウル駅へ向かう道すがら出合った風景には、一瞬タイムスリップしたような気がして、思わずシャッターを押してしまいました。
都市と言う一見同じような属性を持った入れ物は、同じ現代に存在しながら、それぞれに異なった相を移動している気がします。その相を行ったり来たりするのが面白くて、僕は都市を旅しているのかも知れません。
ここ何年か、日本では乳幼児を背負う母親を、ほとんど見なくなりました。もう何年も前に聞いた話ですが、「赤ん坊は、母親の背中越しに、世の中の諸々を見ている」と言った言葉を思い出しました。少女たちが大人になった時、その背中には何があるのでしょうか?